人類史を環境の面から眺める「環境史」の本です。
3人の識者による対談(鼎談=ていだん)形式で、人類の歴史を原人の時代までさかのぼって、自然環境の変化と関連付けてふり返っています。
地層に残る花粉の調査などによって、地球の環境は(太古の昔はもちろん)有史以降もけっこう、温暖化したり寒冷化したり、大きく変化していることが分かってきているそうです。
そういえば昔、学校で世界史を習った時に、「○○帝国は蛮族の侵入によって滅亡した」とかさらっと書いてあって、りっぱな帝国がなんで、野蛮な蛮族とやらにカンタンに滅ぼされるのか不思議に思ったことがあります。
それとか「人間は、なんでこんなにたくさん戦争をするんだろう」という疑問も。
ところが、今まで習ってきたそうした世界史に気候変動を重ねてみると、なぜそれが起きたのか、ちゃんと理由があることが分かります。
蛮族が大挙して帝国を襲う理由は、気候変動による食料難だったり。
帝国が周辺の弱小国を次々と侵略する理由は、国の発展途上で自国の自然環境を破壊してしまって農業が崩壊し、食料の自給や燃料の確保のため、よその国が必要になったのだとか。
歴史は決して、ひとりの指導者の思いつきで動くものじゃなくて、必然なんだなーって、妙に納得しました。
もちろん、本書の最も訴えたいことは、未来の地球においては循環再生型のライフスタイルを主流にしていこうという主張で、つまりエコな本だと思うんですが、とりあえず原人時代から今までの世界の歴史を環境変化で切り取るダイナミックさがすばらしく、世界史の理解に役立つ本だなーと思って、読んでヨカッタです。
でもこれ、2000年に行われた対談なんだそうです。
ずいぶん時間がたっていますが、今ごろこの本を読んで「へぇ〜」なんて感心してる私が遅れていたのかな?
とにかく世界史好きな方にはオススメです。新書なので安いし、一般向けに書いてあって読みやすいです(^^)
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