内容についてはAmazonからコピペ
2050年、そして2100年、世界の“中心都市”はどこか?国家、資本主義、宗教、民主主義は、どうなっているのか?「ヨーロッパ復興開発銀行」初代総裁にして経済学者・思想家・作家であり、“ヨーロッパ最高の知性”と称されるジャック・アタリ。これまでも、ソ連崩壊、金融バブル、新たなテロの脅威、インターネットによる世界変化を予測し、見事に的中させてきた。本書は、アタリが、長年の政界・経済界での実績、研究と思索の集大成として「21世紀の歴史」を大胆に見通し、ヨーロッパで大ベストセラーとなったものである。サルコジ仏大統領は、本書に感銘を受け、“21世紀フランス”変革のための仏大統領諮問委員会「アタリ政策委員会」を設置した。
未来を予測する本というのはだいたい、これから行なう予測に先立って、過去の歴史を総括するところから話が始まる構成になっているんだけれども、この、歴史の部分がとても面白いので、未来予測の本が好きです。
歴史ったってなにせ長いので、どのエリアのどれくらいの期間を切り取って総括するかによって、見えてくるストーリーが全然違ってきます。
以前紹介した『クラウド化する世界』では、産業革命の頃にヨーロッパで何が起きたかをふり返って、現在のネットワークコンピューティングが社会に及ぼす影響と対比させたわけですが、この『21世紀の世界』では、ギリシャ世界まで遡って、「文明の中心都市」の変遷をおいかけるので、西洋の歴史が一望できて面白いです。
昨日見たNHKの「爆問学問」で建築家の西沢立衛さんという方もおっしゃっていたけど、国家というのは時代と共にどんどん変わってしまうんだけど、都市というのは国が変わっても存在し続けることが多くて、より、人々の生活の歴史が残されているといいます。
『21世紀の歴史』においても、ジャック・アタリは、世界の中心となっている都市が、どう移り変ってきたかを見ていきます。
さらに、文明を担う層として、支配者層じゃなくてクリエイター層(芸術家だけじゃなくて、新しい商売を始める起業家たちも含んでいます)を重視して、土着せずに移動していく彼らクリエイターを受け入れ育てることができた街が、中心都市として繁栄し、そうした中心都市を有する国が覇権を握る、というふうに世界を見ていきます。
私が20代の頃に流行していた浅田彰の著書によく出てきたノマド(遊牧民)という言葉がこの本の中にも使われていて懐かしかったですが、そんなふうに浅田彰の本のことをすっかり忘れ果てている自分にもちょっとビックリ。
※私が読んだのは『逃走論――スキゾ・キッズの冒険』あたりだったでしょうか。当時の本は引っ越しで処分してるんで手元になくて。もったいないことしました。単行本で持っていた村上春樹もうっかり処分しちゃったみたいで、その後文庫で買い直しました。やっぱり時々読みたくて(・・;)
私のうっすらした記憶では、『逃走論』は、
若者よ、逃げよ!逃げて逃げて、最後まで逃げ切れ!
そんなメッセージの本だったと思います。
当時はまだ終身雇用が当たり前で、転職は悪とされていた時代で(昭和の話ですから)
そんな中でも自由に生きたいと願う若者は、制度と闘うのでなくて、とにかく逃げて自由をつかめ、みたいな話だったような。
その中で、そうやって会社や地域社会や血縁関係を離れて自由に放浪する人々を、現代の遊牧民であるとして「ノマド」と呼んでいたと思います。
今、こうして書き始めたら思い出したんだけど、私、この逃走論にけっこう影響されたかも。
いくつになっても落ち着かなくて、組織に所属しなくて、組織を作ることもしたくなくて、フリーランスな感じでずっといたいと思っているところとか、意図してるわけじゃないけど、転居が多いこととか。
(転居のことを言うなら、小さい頃から転居と転校を繰り返した私は、生まれながらノマドそのもの)
…話が完全に脱線しましたが(・・;)
『逃走論』は、今手元にないので、いずれまた機会があれば読み直すことにして。
ジャック・アタリに話を戻しますが、
21世紀は、世界の多極化によって秩序が混乱し、世界の至るところで紛争が起きて、大変な混乱が起きるだろうけれども、その中から新たなノマドである「トランスヒューマン」が現れて、調和と共生をめざして新しいタイプの経済活動を始めるだろう。
そしてさまざまなテクノロジーを利用しながら、超民主主義という、国家を超えた世界全体の調和と発展をめざす民主主義が台頭するだろう。。。
というふうに、まとめちゃいますが、あまりにもざっくりまとめすぎかしら。。
これじゃあまるで船井幸雄さんの本みたいになっちゃうんだけれども。。
そのへんはみなさんがご自分で読んで判断していただくこととして(^^;、この本はとっても面白いので、IKUKOの未来の本棚において殿堂入り決定です(現時点では押し入れ殿堂入り)
実は途中難しいところは飛ばして読みましたが(・・;)、
何があろうと、最終的には国家や宗教の枠を超えて、人類みな兄弟という意識でもって、地球全体を見渡しながら生きるということが、21世紀には私たち全員にとって必要になるのは間違いないところだと思いますね。。
言うは易し。。
コメント
[…] 以前読書記録に書いた「21世紀の歴史」の著者ジャック・アタリ氏のインタビューが今週の週刊ダイヤモンドに掲載されています。 しかし、私は週刊ダイヤモンドを買ったのは多分、 […]
[…] 以前、ジャック・アタリの「21世紀の歴史」を読んだときに、文明の中心地は、西へと進んでいる。ヨーロッパからアメリカの東海岸へ、そして西海岸へ。次は太平洋を越えて中国方面 […]
[…] 中心がヨーロッパからアメリカ合衆国の東海岸へ移り、そのあと西海岸に移って、次はアジアだという大きな流れを書いたのは、ジャック・アタリの「21世紀の歴史」でしたが (参照) […]
[…] イチ押しはどれくらい久しぶりかというと、2009年1月に読んだ、【読書】21世紀の歴史 / ジャック・アタリ | 不思議猫日記本店 / dejavu-i 級。 […]