【読書】ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義/藤野英人

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Amazonのレビューは今日の時点でまだ1件しかないけど、的を得た書評だと思います。

プロのファンドマネージャーである著者が語る、「古事記」「日本書紀」から現代までの日本史を経済の面から見直した本。

大きな流れでいうと、日本は古来、下のふたつの状態の間を行ったり来たりしているのだそうです。
・中国が強大な時は海洋民族的(開放路線で積極的に海外と交流する)
・中国が弱体化している時期には農耕民族的(国を閉ざし固定的な階級社会を作る)

日本は長い江戸時代の影響か、自分自身で「日本人は農耕民族で、温厚で、内向き」と思い込んでいるけど、実は、倭寇みたいな海賊の血も流れていて、必ずしも草食系とは限らないという話とか。
歴史が好きな人は、普通に読んでも楽しめる本。

ビジネスに役立つかどうかは、ちょっとわかりませんが…

でも米や穀物の先物取引は江戸時代には確立していたという話とか、今につながる経済の基礎はずーっと昔に出来ていたんだと思うと、不思議な感じがします。

それとか、享保・天保などの江戸時代の改革は全部、経済オンチの武士主導だったため、ことごとく失敗に終わったとか、まるで昨今の政府の迷走経済政策の話かと思うようなデジャヴ感があったり。

国が穏やかに、問題なく、完璧に治まっている時代というのは、実際のところ、有史以来一度も存在してなくて、世の中というのはいつも、富を求める人々のエネルギーによって寄せては返す波のように揺れ動いているものなんだなって、世界の見え方がちょっとだけ、変わった気がしました。

人が経済活動をして、生きていくということが、世界なのですね。
細胞が新陳代謝して、エネルギーを取り込み、老廃物を吐きだしながら、生まれて死んでいくように、
人間も、その時々で、できる限りの力を尽くして経済活動をして、成功したり失敗したりしながら、与えられた一生を過ごし、そして消えていくんです。

経済活動というのは、呼吸と同じ。
お金を儲けてそれを使うというのは、生きているということと、ほぼ同義なのです。

ファンドマネージャーである著者は、そうした人間の経済活動に深く関わってきた経験から、経済活動と人間が切ってもきれない関係だということを認識していて、現在の日本人が、経済活動(お金儲け)を悪いことだと思っている現状を憂えています。

2000年から2005年にかけてIT分野で目立っていたベンチャーブームも、一部の成功者がお金を儲けた姿を見て国民が嫌悪した結果、ベンチャー潰しが起きて、今や、優秀な若者がめざすのは「公務員」という、発展性のない状況になっていると嘆いています。

その点は、私もまったく同感です。
この人口減=税収減の世の中で、公務員めざすヤツばっか増えてどうすんねん!
若者はどんどん金儲けにチャレンジして、雇用創出、経済活性化に尽力せんかい!

と思ってます。。がんばれ、若者!

というわけで、これは、経済や歴史に興味ある人なら、けっこう楽しく読める本だと思います。オススメ。

コメント

  1. TAKA より:

    とても、参考になりました。早速読んでみます。
    ありがとうございました。
    私、藤野さんとお会いしましたが、素敵な方ですよ。

  2. IKUKO より:

    TAKAさん、コメントありがとうございます。
    藤野さんをご存じなんですね!
    また会う機会があったらよろしくお伝えください(^^;
    講演会とかあったら行きます!まさか名古屋には来てくださらないでしょうねぇ。

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