技術書とかビジネス書とか、現実的な本ばかり読みすぎて想像力が退化しているので(!)
何年ぶりかで図書館へ行って、子ども向けの本をいっぱい借りてきて読んでます。
子ども向けって言っても、海外のファンタジーをなめてはいけません。西洋には子ども向けの文学の伝統があるんじゃないでしょうかね。名作がいっぱいあります。
この「暁の円卓」もファンタジーの児童書ですが、ストーリーそのものよりも時代背景が面白くて、大人でも読み応えがあると思います。
全9巻中、まだ4巻までしか読んでませんが(それも飛ばし飛ばし)
かいつまでいうと、18世紀末に画策された巨大な陰謀を阻止すべく運命づけられて生まれてきた、特殊な能力と100年の寿命を持つ主人公が、1900年の1月1日に生まれたところから話がスタートするのですが、のっけから、場面は明治時代の東京。主人公は伊藤博文の甥と幼なじみでいっしょに育つとか、まだ幼かったヒロヒト親王(後の昭和天皇ですね、もちろん)と仲良くなるなど、ありえない展開ではありますが、ガイジンが書いた日本の様子としては、たいへん現実的で(たしかにそういうふうに見えただろうな)と思えて新鮮。
その後、ストーリーの進行に合わせて、場面はアメリカからイギリスへ。そして第一次世界大戦に従軍。フランスの塹壕で2年を過ごし、そのあとバチカンを経てナチスが台頭しはじめたベルリンへ…。ワールドワイドな展開です。
まるで、教科書の中にタイムスリップして、世界史の中にひとりの人間になって迷い込んだような、面白い体験ができる本です。
歴史上の有名人が通行人みたいな役所で登場するのも楽しく。
個人的には、主人公が、オックスフォードのカフェで、偶然、J.R.R.トールキン本人とばったり会って、指輪あるいは円環の意味するところをレクチャーされるシーンにびっくり。
(この「暁の円卓」も指輪にまつわるストーリーで、もちろん「指輪物語」へのオマージュに違いありません)
Wikipediaで調べた範囲では、トールキンは本当にその時期に、オックスフォードに来ていたようで、史実とフィクションが見事に融合されてて、その意味でもすばらしい。
その他にも、私が知らないだけで、実在の人物たちが登場してるかもしれません。
ファンタジー小説としては、設定もストーリーも壮大すぎて、どうかすると陳腐化しそうなぎりぎりの線かなと思うけど、なにしろそういう史実の織り込み方がすごいので、最後まで読んでみようと思ってます。
近代史が好きな人には、オススメ。
作者のラルフ・イーザウはベルリン生まれの作家で、「ネシャン・サーガ」のほうが有名かもしれません。
私はどれも読んでないので、図書館で目を通してみるつもりです。
コメント
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