久しぶりに超おもしろい本でした!
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イギリス(イングランド)が資源も産物もない貧乏な二流国から、豊かで先進的な一流国家に成長した理由は、16世紀にエリザベス1世みずからが参加して行われた国家的海賊行為のおかげだった!…という本です。
もちろん海賊行為は違法ってことになってるので、あくまでも「民営」で、エリザベス女王の関与は非公式らしいのですが、その実、しっかり資金提供をして、がっぽり儲けていたらしいです。
海賊っていうのは、海賊船一隻につきひとりの首領がいて、好き放題に荒らし回っているイメージだったんだけど、だんだんシステマティックになって、毎回投資グループをつのって、1回の航行について、誰が何口、みたいに資金や船を提供して、船長や船員を「雇って」、略奪してきた金品を現金化したのち、掛け金に応じた割合で、リターンを受け取る方式だったのだそうです。
完全にビジネスだし…(¨;)
なので、有名どころの海賊たちは、自分が海賊行為をするにとどまらず、自分たち自身も「出資者」として資金を提供し、その報酬でどんどん肥え太って財産持ちになって、「ナイト」などの称号までもらって、市長をつとめるものまでいたそうで、これって今にたとえるとすごい話。
なんとか系暴力団が、お上と共謀して民間から資金を集めて外国からの略奪を公然とおこない、そのボスが大きな港湾都市の市長になるようなもので。
で、中には、「東インド会社を作って、アジアのビジネスを独占しましょう」というまっとうな提案をする海賊がいたりしたけど、エリザベス女王は普通の海賊行為のほうがリターンがいいので、当初は乗り気でなかったなど。
これって、いまでいう「経済ヤクザ」みたいな?
いずれにしても、合法・違法にかかわらず、闇で作った金を持ち寄っては新たな海賊行為に投資して、どんどん、雪だるま式に金持ちになっていった人たちが16世紀ごろにいて、その子孫たちが後の大英帝国を作り上げたという話。
保険組合の「ロイズ」も、元は東インド会社が独占販売したコーヒーを売る「コーヒーハウス」につどった金融関係者のグループからできたもので、ルーツはまさにこの時代にあるという。
私の好きなジェフリー・アーチャーを読んでいると、国際的な金融取引の話が当たり前にでてきて「すごいなぁ」と思ったりしますが、
百万ドルをとり返せ! (新潮文庫)
イギリスでは16世紀から、(主に海賊行為を通じて)海外相手に商売をするのが当たり前だったという素地があるようです。
(泥棒である海賊たちも、奪った金品を現金化するのに各地の市場を利用したし、当然、その物品が不足している場所で売り、そのカネで現地の希少商品を仕入れてヨーロッパに持ち帰って売るというように、トレーディングの商売も当たり前に行っていた。ちなみに当時の決済通貨は「銀」で、日本の石見銀山の銀も使われたとのこと。)
エリザベス1世女王の蓄財熱と、暗黒面でも並み居る男たちを支配しリードしていた「ますらおぶり」にも驚かされます。
当時はまだスコットランドが併合前で、小さなイングランドは四方八方をカトリックの国に囲まれて軍事的にも経済的にもがけっぷち。女王も、自らの暗殺が計画されるなど、もう打って出るしかない状況に追い込まれての選択だったというのが背景事情らしいですが、それにしても、海賊船による奴隷の密輸まで手を出していたというから驚き。
新書なので、気楽に、ダメもとで買った本ですが、おもしろくて昨日から一気読みしました。
これから、イギリス紳士を見る目が変わりそう(笑)
海賊好きのあなたにはこれをオススメ。
ジョニー・デップの「パイレーツ・オブ・カリビアン」第1作。
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