著者はあの「ロングテール」という言葉の生みの親だそうで、今起きていることの「ちょっと先」を見越す才能のある人のようです。
今回は主にデジタルコンテンツの「無料」戦略について、詳しく分析・解説してくれています。
詳しい内容はこちらなどで紹介していただけるようなのでお読みください。。
無料をベースに有料を抱き合わせにする方法を「フリーミアム」と呼ばれるとのこと。
これはたとえていえば、mixiのように、基本無料にすることで膨大な数のユーザーを確保し、しかるのちに、ちょっと高機能なプロ版を提供して、利用料を徴収する。
あるいは、最近始まったアプリ(ゲーム)のように、やはり基本は無料なんだけど、なんだかんだ便利なアイテムを手早くゲットしようと思うとお金がかかる、など。
無料を餌に有料会員に誘導するというのは、私たちにもおなじみの構図なんですが、なんと。
違法コピーと海賊版が横行する音楽業界ではすでにCDを売って儲けようという戦略を放棄して、CDはプロモーション用と割り切り、海賊版も黙認(勝手にコピーして宣伝してくれるありがたい存在という位置づけ)。
海賊版を含む安いコピー(ほぼ無料)でファンを増やして、リアルのコンサートでがっつり興行収入を上げる、という作戦に移行する予感があるんだそうです。
こうなるとCDのレーベルは必要なくて、イベント企画とか芸能プロダクションなどが、段取り組めばOK。CDもグッズのひとつという位置づけに。
びっくりですねー。
実際にそういう方法で、レコード会社に所属しない大物アーティストが生まれている国もあるようです。すごい、すごい。
MP3やiPodなど、ツールの開発が早かった音楽でこういう変化が起きているということは、Kindleの登場でいよいよ電子書籍が実用段階に入るか?と思われる書籍の世界にも、遅かれ早かれ、変化が起きそうですね。
村上春樹の新作の無料ダウンロード版が公開される日も近い??…わけないか。。
でも作家さんは、コンサートの興行収入が見込めませんから、その分、マネタイズは難しいかもね。
ビジネス書なら、セミナーを開くなどの道筋も考えられるけど。
…なんてことは、別に本書を読まなくても、誰もが思っていることですね。
先日、うちの従業員(!)が参加したセミナーでも、自費でいいから本を出して人に配りまくり、セミナーに誘導せよ、というノウハウを伝授されたようですし。
それってまさに、この本に書いてある戦略そのもの。
でもそれがうまくいくのは「ノウハウ」という情報(ビット)を売る場合に限られ、筆文字という物体(アトム)を売る場合には、うまく適用できないんですよね。
筆文字ではなくて、最近Twitterのbotで流してる「心の言葉」のようなものならテキスト(ビット)に変換できるので、扱いがラクなのですが。。
…と、話が自分ちの事情に偏ってしまいましたが、
無料ということについて、深く深く考えるよい機会になりました。
分厚い割には、文章が分かりやすく、ユーモラスな表現も多くて、楽しく読めました。
オススメです。
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