アーシュラ・K. ル=グウィン といえばSFファンなら知らない人はいない有名な作家。
なんだけど、この三部作は、図書館の児童文学コーナーに並んでいます。
内容はSFというより、伝統的なファンタジー系列の冒険譚。
アーシュラ・K. ル=グウィンは1929年生まれだそうなので、祖父母の世代は18世紀の人ですね。きっと幼児期の体験として、18世紀の古き良き時代の暮らしを体験しているんじゃないでしょうか。中世の自給自足を基本とした暮らしが、生き生きと描かれています。
この三部作は、2000年代になってから書かれている、すごく新しい作品なんだけど、書いた時代を全然感じさせません。きっと50年後、100年後にも、違和感なく読み継がれると思います。
また、作家が70代とは思えないくらいみずみずしい、少年少女の描写にも驚きます。
きっとこれが、アーシュラ・K. ル=グウィンに与えられた「ギフト」なのでしょうね。
お話を紡ぎ出す才能。すばらしいことです。
欧米文学には、児童向けの良質な(つまり、大人が読んでもたいくつじゃない、子どもだましじゃない良質な小説)が、数多くありますね。
日本では、幼児向けの絵本は良質だけど、小学生〜中学生向けの本で、尊敬に値するようなものはひとつも思い浮かません。
日本の小中学生のことを真剣に考えていたのは、この数十年間、マンガとゲーム業界だけだったんじゃないでしょうか。その効果で、今や、日本のマンガとゲームは、世界中の子どもに愛されるようになっていますから、やっぱり、本気でがっつり、どうやったら子どもたちを楽しませ、子どもたちに愛される作品を作れるかって、考えつづける姿勢が大切なんでしょうね。
いずれにしても、世界に目を向ければそこにはいつも、すごい人、すばらしい人が、たくさん活躍していて、勇気づけられます。
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