【演劇】海をゆく者@穂の国とよはし芸術劇場プラット/ワタシ的には想定外の結末

昨日、1月10日、見てきました。

会場が近いし、キャストが有名人ばっかだし、ということで内容も知らずにチケットを取ったのですが、行ってよかったです。

【スタッフ】
作:コナー・マクファーソン
訳:小田島恒志
演出:栗山民也

【キャスト】
小日向文世
吉田鋼太郎
浅野和之
大谷亮介
平田 満


まず、上演日の前の晩に「プレトーク」というのに参加しました。

翻訳者のプレトークって、どんな内容なのかまったくイメージできなかったのですが、原作が海外の場合、翻訳者が脚本家の役割をするようで、いきなり劇を見る私たちに向けて、背景となるアイルランドの風土や人々のありようを、現地に旅行した時の写真をまじえて紹介しながら、見るべきポイントをいくつか教えてくださって、本番を見るときに、そのヒントはとっても、とっても、参考になりました。

そして当日。
本編は、汚い男たちが汚い部屋でずーっとお酒を飲んでよっぱらいながらしゃべってて、だんだん、それぞれの情けない人生が分かってきたところで、誰の知り合いでもない小日向文世が登場してきて、それからぬきさしならない選択へと突き進む…という展開。

プレトークを聞いていなかったら、前半の汚さやなさけなさでつらくなってしまったかもしれないけど、もしかしたらこれがアイルランドの暮らしってものかもしれないし、後半、何かありそうだし、と思って我慢強く、舞台上の人のことを理解しようと努めつつ、

それでも二幕になっても事態はどうにもなりそうになくて、いったいこれ、どう決着するんだろうと気をもみながらもさすがに眠気に負けたりしているうちに、さりげなくポーカーゲームに謎が仕掛けられて、あっという間に、「うわっ、どうなるんだ!」「結末をどうする、作者!」と、はらはらする場面になり、客席全員が、どうなることかと息をのむ瞬間が訪れて…
そして、愛が。

すべてを包み込む無償の愛が。

そして、そういえば、この日はクリスマス。すべてが許される一日だったんだと気がついた時、見ている私の心も神様の愛に包まれていた…という。

ええっ!
そんな!
なぜわたしにまで許しが!

仏教ベースで生きてる日本人である私なんかは、まあ、生きてる間はいろいろあっても死んだらみんな仏様さ♪ てな感じでのほほんと暮らしてるわけなんだけど、キリスト教のような絶対的唯一神というのは、そういうのと違って、絶対的な愛と許しをもたらす存在なんだということが、突然、わ〜っと、天から降ってきて、信仰に出会っちゃったみたいな。

ちょっと大げさですけど。

だからって私がキリスト教に帰依する可能性はぜんぜんないんだけど。

でも多分、宗派とかよりもっと根源的な何か、人間を救う何かが、いつもそこにあるのに見えてない何かが、舞台上で、きゅーっと、ピントがあってパッと光って目に見えた。そんな感じの、びっくりするようなエンディングでした。

多分、あらすじを書くと「ふうん。それで?」って感じの、とりたてて珍しくもない展開なんだろうけど、最初からの流れで、見る方もいろいろがまんしながら、一生懸命、登場人物たちに共感しようとしながら見てきたあとだから、そうなる、というようなマジックが。

ほんと、その瞬間、舞台と客席がひとつの空間になって、みんなで、同じひとつのことを心配した。

そしてみんなで癒された。

そういう実感がありました。

客席側から、舞台上と一体になった感じがしたのは、多分、初めての経験。

その意味でも面白かったけれども、
それよりやはり、突然、舞台上に癒しがやってきたこと、そして、引き込まれて見ていた分だけ、私もいっしょに、癒されてしまった、というのが、一番、強烈な体験でした。

どう考えても絶対に、宗教の話じゃないのにね。。。
徹頭徹尾、飲んだくれているだけなのにね。

もう一度見たいかと言われると、うーん、と思うけど、
何年かしたらやっぱり、もう一回見てみたいと思うかも。
ちなみに、今回のは、5年ぶりの再演だそうです。

吉田鋼太郎さん、予想以上にすばらしかったです。
ほぼ出ずっぱりで、ほぼしゃべりっぱなしで、最後もこの人の台詞でもっていきます。
ほんとすごい。

見てよかったです。

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