あちら側の世界へ。

2001年に、白い猫が主人公のメルヘン小説を書いて、まぐまぐやメルマなどから配信して、フロッピーの電子書籍(!)で売ったりし始めた矢先に、忘れもしない1月のある晩に突然、夫から「もう会社やれない…」と言われて、よくよく聞いてみるとその時点で、もう何カ月も仕事がなくて、会社の口座の残高はゼロだった。

じっとうずくまって何もしようとしない夫の尻をたたいて、とにかく出費を止めるために、名古屋に借りてた事務所を撤退する手続きをさせたり、夫に手伝わせて荷物を運び出したり、すべての手配を私がやって、とりあえず固定費をゼロにしたところで、夫は自宅から一歩もでれなくなって(その時点で何年もうつ病だったのが、この事態でさらに悪化したのでした)

ほんとうに、ほんとうに、収入が突然ゼロになって、経営者だったので失業保険もなくて、貯金をどんどん食いつぶしながら、夫はソファーに横になって毛布をかぶってるだけだし、親や友だちに相談しても「困ったねえ」というだけだし、仕事を探したけどパートしかなくて、月10万円くらいしか稼げそうにないし、

いったい、家族4人をどうしたらいいの…

と、途方に暮れていたあの頃。
書きかけの白猫の話の続きを書かなくちゃとパソコンに向かったけど頭の中が真っ白で、続きがなにも出てこなかった。あの日。

あの日。あの日。あの日。

あの日から、私の中で止まってしまった時間。

もう書けないからメルマガを休刊するってお知らせを出したとき、読者の人から「毎週楽しみにしてたのに!」と言われたこと。
その言葉を思い出すと、今も、胸の中に痛みが走る。
くやしくて。
自分が。

あれは多分、神様からの試練だったんじゃないかしら。
本気かどうかテストするんだよね。
私はしくじってしまった。

この道と思っていたのに、自分で封印したどころか、
私がこんなふうに、現実を見ずに自分の空想の中に浸っていたから、ある日突然こんな目に遭うんだって、自分を責めた。

自分がぼんやりしてたから、事態がこんなに悪くなるまで気づかなかったんだ。
夫が、大丈夫って言ってても信用なんかしちゃいけない。
ちゃんと両目をあけて、トラブルが小さいうちにみつけて手を打たないと、たいへんなことになる。

そういう恐怖にとらわれて、それ以後、安心して空想の世界に没頭するなんて、とんでもない。
現実から目をそらしたらまた、落とし穴にはまるって思って、必死に10年間、現実しか見ないようにして過ごした。

…だけど、もういいかな。
今度、落とし穴にはまったらもう、はまったままでいよう。
どこまで落ちても、もういいや。
私には他に欲しいものもないし。

これが何度目かのトライだけど、今度こそ、あっち側へ行く。
今度のテストはかならずクリアする。

来年の3月を区切りに、生活の比重を逆転しようと思っています。
けじめがつかないようなら会社を解散して、筆文字は、つとむの個人事業に戻してもいい。
これ以上、このままでいてはいけないというところまで、私の人生は切羽詰まっているのでした。。

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