今年のコンクール応募作が書き上がった。
ストーリーラインはだいたいできていたのに、実際のシーンを描くのがとてもとても大変で、必死にがんばったけど、思うようには書けなかった。
今まで、作家の人が取材をしないと書けないって言ってるのがよく分からなくて、物語世界と同じ場所などどこにもないんだから、なにを取材するんだろう?って思ってたんだけど、今回、その意味がよく分かった。
同じ世界じゃなくてもその土台になるような現実世界がないと、ほんとうに丸ごと全部空想で書かなくちゃいけなくて、そんな、行ったこともないような場所、風景も匂いも気温も距離感も空の色もぜんぜん、思い浮かばないから、書けないっての。
今回19世紀の西部の酒場とか出てきたけど、映画で見たシーンを再現するのがせいいっぱい。
どんなお酒を飲んでるかも決められないし、自分、お酒のまないから味もわかんない。食事だって何を食べてるのか知らない。
乗馬は何度かやったことがあるので、乗り方は知ってたけど、馬具の名前が分からず、何時間もかけて調べたりとか。
あと、固有名詞もつらいものがあった。
登場人物の髪の色とか、あとしゃべり方とかも、難しかった。自分のことを、私、おれ、ぼく、なんて呼ぶ? とか。
技術用語も、きちんと統一していないので、毎回、なんだっけってなったり。
ファンタジー小説って、適当に思いつきでは書けなくて、いろんな準備が必要だわと、毎回だけど、今回も痛感しました。
シリーズで書いていこうと思ってるんで、次はどういう話にしようか、またこれから考えます。
もうちょっと若年層向けに書くと文章的にラクだけど、恋愛要素が必要なのは辛い。
もっと若くて小学生くらいなら書けるかもしれないけど、児童文学の新人賞は、毒のある作品はNGぽいので、ださくていやだ。受賞作を読んでみたけど、どうもねえ。こういうの選ぶんだ、ふーんって、感じで。
応募作品には略歴書けってなってるので、今までは毎回、印象に残るプロフィールいっしょうけんめい書いたけど、今回はめちゃ手抜きです。中学校教師、専業主婦、WEB制作、ネットショップ運営など。以上終わり。職業は会社役員。
もうめんどくさくて。
どうせ読まないだろうし。
ってことで、梗概だけは、こみいった話なのでなるだけ分かりやすく書いたけれども、その他は、本文含め、もう無理これが限界!って感じで、理想にはほど遠いけど、今の私に書けるのはここまで。
って感じでした。
あと、文章っていつも書いてないと、言葉が出てこなくなるもんなんだというのも。
ちょっとびっくりするくらい、「こういうことが言いたいんだけど、えっと…」って言葉が出てこないことが何度も何度もあって、自分でも驚きでした。日頃かくこうした日記みたいなので、言葉が出てこないなんてありえないんだけど、小説世界では、いろいろ説明しないといけないことが多くて、それも、人の動作とか、表情とかをどう書いたらいいか、分からない場面が多かったです。
くりかえすけど、今回はほんとに、たいへんでした。
2週間前の段階で規定枚数の半分以下で、毎日、「ああもうダメだ、間に合わない」とあきらめて、そのたびに「でも途中まで書いたし、もうちょっとだけ進めてみよう」と思い直して、ほんとにそれを2週間毎日繰り返して、枚数的にクリアできると確信したのは3日前くらいです。
とにかく枚数はクリアしてないと応募しても意味ないんで。
そして昼間に書こうとしても、どうにも集中できず、書いた部分を読み返して先にすすめようとするんだけど、まず、読み返しても文章が頭に入ってこないという、状態。無理してやってると、失神するみたいな眠気が来る。
で、いちばん良いのは、毎晩、子猫に起こされる、夜中の3時前後の時間に、そのまま起きて作業するのが最も、集中できる時間帯でした。これ以外の時間帯は、がんばってる割りに集中できてなくて、わけわかんないこと書いてたりして、ダメ。
なぜだか、夜中って、空気が濃密で、気持ちの中も静かなせいか、ほんとに、その時だけはちょっといい感じで書けたりもしました。
でも全体に、書いても書いても進まない感じで、しんどかった。
でもなんでこんな辛いのに、書いてるんだろうっていう、そこですね。
理想を言えば、苦しくて辛いので、なんとか作業をシステマチックに細分化して、もっと機械的に書けるといい。
なんでも慣れればラクになるから、きっとこれも、慣れ。
作業の効率化は絶対できるし、なんか、こういうことを相談できるなら、これを仕事にしてもいいなーと思う。
架空のキャラクターたちをどう動かそうかっていうミーティングをしている自分がイメージできる。
同じ苦しいなら、ネットショップでモノを売るより、新作小説のアイデア出しをしてるほうがいいし、そのほうが絶対楽しい。
というわけで、今年の応募はこれにて終了。あとはコンクールに敬意を表して、発表後まで待って、応募作をもとに電子書籍したものをどんどん公開販売しちゃうつもりです。
なので、それまでの間に、応募作の反省会をしないとです。
どこをどう改善したら良くなるのか、もっと知りたい。