県大ファンファーレ2009 特別企画 姜 尚中講演会

http://daigakujc.jp/c.php?u=00023&l=03&c=00162
愛知県立大学で姜尚中さんの無料講演会があるという情報を入手したので、今日、行ってきました。
(娘がこの大学の1回生です)
iPhoneのカメラではうまく写真が撮れなかったので、写真はナシです、どーもすみません。デジカメ持って行くべきでした(~_~;)

姜尚中さんは最近テレビにもたくさん出演してらっしゃいますが、どんな話題の時でも変わらない、あの落ち着いた語り口でステキです。

気になる内容ですが、ここにレポートをアップしなくてはいけない!と使命感にかられてメモをとりながら聞いたものの…内容が立派すぎて…

とりあえず「多文化共生社会とこれからの大学」というテーマに掲げられている「多文化」の中身から話は始まりました。

多文化というと、日本とアメリカ、日本と中国というように、あたかも「日本」などという「ひとつの」文化があるかのような前提で語りがちだけど、実際には「日本」という単一の文化の中に、ちいさな「差異」がたくさんある。
日本や韓国は国民に民族的な違いが非常に少ないため、ぱっと見「みんないっしょ」に見えるけれども、よく見れば、ひとりひとりがみんな違う。

それなのにその違いを認めず、みんな同じでなければならないという意識が蔓延している。そのことが、高い自殺率につながっているのではないだろうか(韓国も日本に負けず劣らず自殺率が高めをキープしているのだそうです)

たとえば男と女の2種類しかいないと思っている国民の中に、性同一性障害のような、どちらとも違う人間が実際に存在している。

と同じように、現代社会には、従来、存在しなかったようなたくさんの小さな違いを抱えて生きている人がたくさんいる。

多文化の共生を考えるとき、まずは、自分たちの文化の中にある異文化を、どれだけ許容できるかが問われる。

自分と違う文化を受け入れれるには、知識が役に立つとは限らない。実際にそういう人と出会うことでしか、自分の観念を打ち破り、新しい世界が見えてくるようにはならない。若い大学生諸君には、枠にはまった生活にとどまらず、自分の知らないこと、理解できない人に出会うことが大切である。

今、日本は経済的な地位を中国に奪われ、あとは落日あるのみと悲観的になっているが、若い、20代、30代の人間の中には、そうした、多様な価値観や文化をありのままに認め、受け入れ、問題があれば解決していこうということを本気で思っている人間がいる。

であるからして、私(姜尚中)は、日本はこれで終わってしまうとは思わない。
日本はこれから、今までになかったような、新しい価値観、新しい文化をはぐくむユニークな国になる可能性がある。

自分と異なる価値観、文化を許容できるということは、すなわち自分自身の中にある多様性を受け入れることにつながる。
多様な文化をありのままに受け入れて共存できる人間は、自分の中にも豊かな多様性を見いだし、今までの日本人が体験できなかったような豊かな人生を送ることができるだろう。

…というようなお話でした。。。

その、未来に希望を感じさせる若い世代というのは、具体的には、自殺対策支援センターNPOライフリンク代表の清水康之さん(姜先生の教え子だそうです)とか、あと派遣村の湯浅 誠さんらを指しているということで、つまり、自分が感じた素朴な疑問をごまかさないで、ストレートに行動につなげていく人、というイメージなのかなと思いました。

全体にいうと、私たちがいつもは気にとめることもないようなマイノリティの問題について、「ちゃんと向き合おうよ」「見たくないことも見ないと世界の見え方は変わらないよ」という、メッセージなのでありました。

立派だなぁ〜。
美しいなぁ〜。
「日本の良心」みたいな人だな〜。

最近じゃー、どうやったらウィンドサーフィンが上手になるだろう、くらいしか考えていない私には、正直荷の重いお話でありましたが、大学生には必要なメッセージだと思います。

会場の前のほうに座った一般参加者(年齢層高し!)はみんな熱心に聞いていましたが、娘の話では、後ろのほうに座った大学生は軒並み爆睡(寝息聞こえた!)ということでした。

往々にしてそういうもんです。
必要な人には伝わらず、老い先短い人ばかりが熱心にメモを取るという(笑)

でも団塊の世代のおじさんおばさんたちは行動力あるから、社会のひずみや、そこに落っこちた人に実際に手をさしのべる活動に関わる人も出てくるかもね。
持ちつ持たれつ。困ったときはお互い様。明日は我が身。etc.

しかし、いつぞや幸田町で聞いた田原総一朗さんの講演にしても、今回のにしても、1時間半ほどの講演を、スライドもなく、ただしゃべるだけで保たせるって、すごいなーと思います。
凡人の私なんて、とてもじゃないけど恐ろしくって、なにか間を持たせる資料がないと1時間半なんてこなせません。
それだけの内容の蓄積と、しゃべることへの自信があるんですねー、脱帽です。

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