1977年発売のセカンドアルバムのリマスター版。
当然持ってると思ってたけど手元にないのでAmazonで購入。
持ってたのはLP版か、あるいはそれを録音したカセットテープだったみたい。
なんといっても最初の「LOVE SPACE」が秀逸。達郎には涙なくして聴けない懐かしい曲がいっぱいある。
中学一年で転校した関市に最後までなじめず、暗くて退屈で楽しいことなんかひとつもなくて、早く終わればいいのにとただひたすらやりすごしていた中学・高校時代。
そこからようやく解放されて、実家を離れて、さあこれからがほんとうの自分の人生って、希望がぱ〜っと広がった大学1〜2年の頃に聴いていた山下達郎と吉田美奈子。
実際にはそんなにすぐにバラ色の人生に変わったわけではなかったけど、でもあの時の「あたしは絶対幸せになる」「私の人生はなにがあろうと私のもの」という確信があったから、その後のいろんなことにへこたれずに自分らしく生きてこれたと思う。
この時期の達郎のアルバムには、坂本龍一や細野晴臣をはじめとして、村上”PONTA”秀一、向井滋春、斉藤ノブなど、のちに大御所になった人たちがいっぱい参加している。当時は無名だった彼らがこの時期にここで出会っていたんだなって、ライナーノートを見ていると不思議な感覚になる。
出会いはやっぱり偶然じゃないんだ。
運命の渦に巻き込まれるように出会う必要のある人は必然的に出会い、そしてそれぞれの流れへと別れていく。
その後、1980年を過ぎてからは世の中は右肩上がりに明るく豊かになって、最後はバブル景気でピークを迎えたのだけど、思い返せばあの、私が大学に入った1980年のちょっと前くらいの時期に、なにか、世の中の潮流が変わったような気がする。
ほかの世代の人もみんな同じように、自分の20歳くらいの時に世界がいっせいに変わり始めたように思うのかな。
洋楽ではEW&Fなんかも同じ時期で、今でも、あの頃の曲を聴くと当時の気持ちに戻れる。
去年のはじめに、突然、筆文字販売やらWEBやらビジネスやら、本来の自分ではない人まねみたなことはやめて、元いた場所に戻ってやりなおそうって思った、その「戻る場所」のひとつが、この時期の自分のいた場所のような気がする。
あの頃は、まだ若くて、欲しいものがいっぱいありすぎて、足を止めることができずに通り過ぎてしまったんだけど、確かにあの場所に、くぐるべき異次元への扉があったような気がする。
もっと若い頃には苦もなく通り抜けて行き来していた扉なんだけど、今では通り抜けるどころか、扉の場所さえ探せない。そんな扉も、今ならまた見つかるような気がする、今日この頃です。