この記事は2009年11月30日に書いたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください

【読書】 働かざるもの、飢えるべからず。/小飼 弾

404 Blog Not Foundで有名な小飼弾さんの著作。404 Blog Not Foundの書評を読んでその本を購入したことは数知れず。
でも、本人の著作は、先日購入した電子書籍の「決弾」に続いてこれが2作目です。

この本の目的は、「社会相続」の提案。

高度成長時代が終わり、少子化していく日本社会を根本から救うために今、なんらかの方法が必要である。
財政破綻を避けるために重税を課すと、人々の生きる意欲をそぐので、生き終わったあとで、税金を払おう。
生きてる間に使い切れなかった財産は、子孫ではなくて国に残せばいい。
つまり相続税100%。

本には数字も示してありますが、現在の日本のお年寄りが膨大な預金を持ってることを思うと、すばらしいアイデアに思えます。

私の両親はともに跡取りじゃなくて核家族で自活してきた人で、先祖伝来の土地などという財産がないので、この「社会相続」という方法は、すっごくいいな、すばらしいアイデアだなと、瞬間的に大賛成してしまいました。

でも読み終わってから改めて考えると、そんなのとてもじゃないけど、実現の見込みないですね。どんなにわずかな現金だろうと、あるいはどんな僻地の猫の額ほどの土地だとしても、本来相続でもらえるはずだったものを取り上げて国庫に入れるなど、言語道断。
憲法にも抵触しそうだし、大もめにもめること間違いありません。

あと、自分の財産ならまだしも、先祖代々守ってきた土地、みたいなものに縛られてる人は地方にはけっこう多くて、お金に困っていても、先祖伝来の土地だから売るに売れない、という話をよく聞きます。

こういう「死者からの預かり物」みたいな財産も含めて、強制的に取り上げるわけですから、死生観に踏み込む説得が必要かと。

…そう思ったら、巻末に、小飼弾とスリランカの仏教の長老のスマナサーラ師とかいう人の対談が掲載されていました。

うーん、いきなり長老とか出てくると、さすがにちょっと気持ち悪い。
宗教を利用したマインドコントロールに見えてしまって。

対談の内容に文句があるわけじゃないんだけど、そのアプローチは別の本で、じっくりやって欲しかったな。もしも本気でやる気があるなら。

…私は高度成長時代の申し子だもので、社会主義願望は持ってないんですが(知識もない。資本論も読んでない)、この社会相続が実現したら、「財産の私有」の概念に大きな変化が起きるし、血縁主義の家族体制だった社会が根底から崩れて、いよいよ封建時代からの家長制度が瓦解することになると思います。
ちょうど、自民党の「派閥」が、配るお金がなくなったとたんに解体を始めたように。
残す財産がない家長の存在感と発言力が低下するでしょう。

私は、個人的には、それが21世紀以降に必要な流れだと思うんだけれども。
自民党の派閥以上に長い歴史のある制度ですから、一朝一夕にはどうもね。

でも、もしも実現したら、なにかと問題ありと指摘されている現在の資本主義を超える、ゆる〜い社会主義的な社会になっていく気がします。経済的にはどう変化するかよく分かりません。国際社会の中で、そういう国が生き残れるのかどうかも、よく分かりません。
そもそも、社会相続っていうのは、一般的に論議されている方法なのかどうかさえ、よく分かりません。

とりあえずこの件につき、もうちょっと広く、専門家の中で議論が起きるといいんだけど。
単なる思いつき、ちょっとしたアイデア、というだけではもったいない。

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コメント

  1. […] 私にはやっぱり、この間の小飼弾氏の「相続税100%」社会が、究極の理想なように思えるんですけど…。 […]