[橘川幸夫のメディア企画塾関連] CoderDojo安城の見学に行ってきたのでレポートします

先週の土曜日、隣町の安城市で開催されているCoderDojo安城を見学させてもらったので、そのレポートです。まず、なぜ見学に行ったかという、そのご説明から。

新しい世界に身を置きたくて

先月、facebookで流れてきた(もしかして広告だったかも)小さな記事が目にとまり、7月1日に、橘川幸夫のメディア企画塾(京都) というものに参加してきました。

参加費は無料。自分たちでやりたいことを提案して現実化していく、というような内容がユニークで、ここへ行けば、今ある環境とはまったく違う、新しい世界に出会える気がして、少し勇気が要りましたが申し込みました。

第1回の京都のミーティングは、知ってる人がひとりもいないし、そこにいる間中「来なければよかった」と居心地の悪い思いをするくらい、100%アウェイな集まりでした。当然ながら。

でも、そういう環境に身を置いて、新しい体験がしたくて参加したのだから、仕方がありません。とりあえずその場で「新しい教育を考える」というチームに入りましたので、帰宅後、自分にできる範囲で調べてみることにしました。

以前から気になっていたCoderDojoについて調べてみた

身近なところで「新しい教育」といわれて真っ先に思い浮かぶのは「CoderDojo
数年前から、facebookで、複数のお友だちが、それぞれ別個に自分の住む地域でCoderDojoを立ち上げたり、運営にかかわったりし始めているのを見て、「これは何だ?」と気になっていました。

ざっくり、ボランティアで、Scratch という子ども向けのプラグラミングソフトを使って、子どもたちにプログラミングを教える、というようなイメージでした。でも、サイトで確認したところ、特別にカリキュラムはなくて、到達目標もないみたいでした。

7/7にcontents.nagoyaというイベントにWordPressビギナーズ名古屋として参加させてもらったとき、懇親会でたまたま、CoderDojo尾張の運営にかかわっているKatz上野さんに会ったので、そのへん、ちらっとお聞きしました。

オープンソースの勉強会やイベントは基本的にはボランティアですが、あれは、やればやるほど「業界」で顔が利くようになるとか、情報がどんどん入ってくるとか、お仕事的に有利に働く見返りが得られる(可能性がある)ので、業界人であればやる意味があると思うのですが、地域の子どもにプログラミングを教えても、見返りは期待できそうにありません。

それなのにボランティアで運営しつづけるって大変だと思うけど、何がモチベーションになっているのか、聞いてみました。

Katzさんによると、CoderDojoは特定の誰かが主宰する地域コミュニティというより、自分の子どもに教えたいという気持ちを拡張しただけ、ということでした。言ってみれば、小学校の子供会のソフトボールみたいなもので、その年齢の子どもを持つ親が、ボランティアでコーチをつとめて子どもを教えるけれども、子どもが卒業すると親も世代交代していきながら、全体としては継続されていく、というような。

当初、私が思っていたのは「新しい教育のかたち」ということでしたが、これはどうやら、子供会のソフトボールのようなものなのかもしれません。

という下調べを経て、7/21(土)に、実際に開催されているCoderDojoを見学してきました。

実際に、CoderDojo Anjo(安城)を見学してみた

おじゃましたのはこちらのイベント。事前に趣旨をお伝えして見学を申し込んだところ、快く受け入れていただきました。

第7回 夏休みだ! CoderDojo Anjo – CoderDojo Anjo (安城)


安城名物七夕祭りが翌週に控えているため、市の施設である会場にも、ミニチュア七夕飾りが飾ってありました。

参加者は男子3人、女子2人。それぞれ、お父さんやお母さんが付き添っています。

最初に、CoderDojoのビデオ(広島弁バージョン)を流します。

それが終わると、スクラッチカードというものを使って、サンプルを見ながら作ってみる、という実習がおこなわれていました。

参加者は小学校2年生か3年生くらいが中心で、保護者が付き添っています。基本的には親が自分の子のめんどうを見る感じ。子どもたちも、知らない大人には話しにくいので、自分のお父さんやお母さんに聞きながらやっています。親のほうはScratchに詳しいわけではないけれど、カードの説明を見ながらこれをこうするんじゃないの?と手探りで協力。やがて、
「できた!おかーさん、見て見て!」
と子どもたちの声が響きます。

最後に、発表の時間がありますが、できたものを見せるのではなく、いわゆるライブコーディング(!)で、目の前でどんどん作品ができていきます。
Scratchを触ったことがない私にとっては、ああ、こういうふうに使うんだ、という操作感を体感できましたし、こういう機能があるんだ、ということも分かって、見学者的にはありがたかったです。

やっている子どもも、一度自分でやったことの復習になりますし、二度目にようやくやってることを理解できる、ということがある気がしました。

ちなみに、ときおり、親が割って入って操作するので、何かなーと思ったら、なんと!子どもたちはまだローマ字を習っていなくて、日本語のキーボード入力ができないのでした。それで、変数名に日本語で名前をつけたいという場面になると、こうして親御さんが代わりに入力してあげる、ということでした。

どの子も操作はサクサクやっているので、まさかキーボードで日本語が打てない年齢だとは気がつきませんでした。
ちなみに、Scratchでは数字を入力する場面は多いのですが(繰り返す回数、移動する距離など) 数字に関してはどのこ子もキーボードの一番上の数字のキーを押して、自分で入力していました。

あと、CoderDojo安城では、メガネ式ノート術というのを推奨していて、これはA4の方眼ノートを見開きで使って、真ん中にメガネのような2つのマルを書いてその中にテーマ。そしてまわりを4分割して、準備や設計、メモなどに使うというものでした。
子どもたちは小さすぎて、ノートを活用するには至りませんでしたが、これなんとなく自分で使いたい感じがしました。
マルが2個あるのが良いです。

(ノートを見せてくださっているのが、CoderDojo安城の主催者、くろやなぎさん)

主宰のくろやなぎさんに聞いてみた

終了後、個人的に気になっていたことをいくつか質問させていただきました。

Q: CoderDojoって誰でもできるの?
A: 誰でもできます。

基本的には本家アイルランドに申請を出すんだけど、特に審査とか、ダメ出しとかはなく、やりたい人は誰でもやっていいという、オープンソースっぽいノリのよう。

Q: くろやなぎさんはなぜCoderDojoを始めたの?
A: 自分の子どもにパソコンやプログラミングを教えたいけど、家ではやってくれないので、イベントにしてみました。

結果、お父さんは他の子ばかり教えてて、ぼくの面倒を見てくれない!ぼくにも教えてよ!と言わているそうで、うれしい悲鳴というやつ?

Q: プログラミング教室と間違われない?
A: 常に、教室ではありません、教えるのではありませんと言い続けているので、だいたい、趣旨を理解して参加してもらっています。

Q: 塾のようにメンバーになって通い続けるのではなく、来たいときに来る感じ?
A: そうです。来たり来なかったり、自由です。

Q: メンターも入れ替わって大変ではないですか?
A: そうですね。でも基本的には親御さんが見てくださるので、だいじょうぶ。

たしかに、今回参加していた子どもたちは、家でScratchをやったことがあって、親御さんもある程度は操作を知っているという感じでした。やはり、学校でプログラミング教育が始まるという話を聞いて、これは対応しなくては、という風潮があるのではないかと思いました。

課題と感想

今回初参加というお母さんに話をお聞きしました。
その方は今回、娘さんを連れて参加していたのですが、本当はお兄ちゃんがScratchにハマっていて、お兄ちゃんを連れてきたかったんだそうです。
お母さんがおっしゃるには、
「お兄ちゃんはScratchでずっと遊んでいるけれど、これを教育につなげるにはどうしたらいいのか、相談したくて来ました」
とのこと。

主宰のくろやなぎさんは、コンクールへの応募をモチベーションにして、作品を作って公開するというのをオススメされていました。

人に見せるためには、作品のコンセプトや構成を考えないといけないし、ビジュアルも自分で作る必要があるし、受賞作品を見ると、音楽まで自作していて、さまざまな要素がからみあってひとつの作品になるわけなので、そういうことにチャレンジするプロセスで、プログラミングだけでなく、いろんな学習につながるのでは?ということでした。

今回も、最後に発表の時間がありましたが、人間って、何か作ったら人に見せたい、評価されたい動物なので(だから、「おかーさん、見て見て!」という声が飛び交う)
子どもでも大人でも、新しいものを作ったら公開する。
インプットしたらアプトプットする。
そして反応を見て、刺激されてまた次のチャレンジを思いつく。

WordPressの本を買ったら、作って公開して様子を見る。
アクセスがずっとゼロなのに気づいたらSEOの勉強をしてみる。
…というように💦

クリエイティブということは、かくのごとく、何らかの方法で自分を表現し、まわりの社会と情報のやりとりをして、学びを与え、自分も学びを得て、お互いに拡大していく、というプロセスなのだと思います。

…なんて、話が飛んじゃいましたが、初めて見るCoderDojoは、起立・礼の挨拶で始まり、挨拶で終わる、ユニークな道場でした。

広島弁の紹介ビデオにもあったように、これは教育というよりも“プログラミングのクラブというムーブメント”という色が濃く、子どもを○○のレベルに到達させようとか、コミュニティとして長期間継続運営しようとか、そういう世間一般の発想とは違うところに重心を置いた、ある意味、珍しい、面白い試みだと思いました。

CoderDojoは各地にありますが、その運営方針や内容は各Dojoにお任せされているということなので、多分、それぞれのDojoがそれぞれのやり方で運営しているのだと思います。

他に、愛知県内では、豊橋創造大学経営学部 今井ゼミプロジェクトというところで、ゼミの研究の一環としてCoderDojo豊橋を開講して、学生がメンターとなって指導するという試みがあるようです。

運営側の課題として若年層へのプログラミング教育という目的があるので、なにかしらの指針とか方針とかをもって運営されている可能性があって、ちょっと面白いかも、と思いました。気軽に見学に出かけるにはちょっと遠いのでアレですが💦

CoderDojo豊橋 & Hour of Code in 豊橋(豊橋創造大学 今井ゼミプロジェクト) | Doorkeeper

個人的まとめ

私の個人的な感想としては、

(1)CoderDojoは、誰でもやりたい人が開講していい、自由なボランティアの仕組みである
WEBで調べたときは本部の縛りがきついような印象だったけど、実際にはわりとそうでもなくて、名乗りを上げれば道は開けるようでした。

(2)CoderDojoは、教育と遊びの中間、またはどちらでもないような「ムーブメント」のようである。
動画の中で、自ら、これはムーブメントである、と説明しているのは面白いと思いました。
私も、ムーブメントを作りたい(笑)

(3)新しい教育を考えるにあたって、まずは「教育とは何か」という定義が必要という気がした。
集まって何か勉強してたらそれは教育なのか、それとも…? ということです。
具体的には、よくあるオープンソースの勉強会で講師がレクチャーして受講者が学ぶ形式、あるいは私がやってるビギナーズのように質問に答えるQ&Aスタイルの勉強会。あれって教育?それとも?

個人的には、集まって何かしてたら教育、というのは無理があって、やっぱり、生徒(受講者)に知識や技術の向上をもたらすこと(あるいはそれを目的とする活動)が教育ではないかと思います。

日本の公的教育では多分、教育基本法か何かで、教育の定義が定められてると思うけど(昔覚えたはずなんだけどすっかり忘れてしまった)(@_@)、

国家による教育が唯一の教育ではないだろうと考え、既存の教育では足りてない何かを補う教育を模索したい私たちなので、教育基本法の定義が唯一の定義とは認めず、何を教育と定義するかを自分たちで決めていく、というところから、始めたらいいのではないかと思いました。

おまけ

今回、CoderDojoについて調べている過程で、気になる記事や動画をいくつか見つけたので、自分用にメモしておきます💦

イエナプランを学校に吹き込もう!!

選択の機会が人を育てる〜先端教育を発信するPeatix創業者が感じた世界とのギャップ | 未来を変えるプロジェクト by DODA

ダフニー・コラー 「オンライン教育が教えてくれること」 – YouTube

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※ この記事はコメント欄を開放しておきますので、この内容についてご意見のある方は、ページ最下部のコメント欄でお知らせください。回答はできないかもですが💦

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