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2割の人に思いを伝える〜村上春樹〜

By , 2009 年 11 月 16 日 12:30 PM

メモです。

昨日セカンドライフについて難しいから流行しないんだと書いてるブログを見て、妙にひっかかるものがあって、なんでだろうと考えていたら、思い出しました。

村上春樹のエッセイからの抜粋です。
小説を書く前に経営していたジャズ・バーの話です。

たとえば店をやっていると、毎日沢山の客がくる。でもみんながみんな僕のやっている店を気に入るわけではない。というか、気に入る客はむしろ少数派である。でも不思議なもので、たとえ十人のうちの一人か二人しかあなたの店を気に入らなかったとしても、その一人か二人があなたのやっていることを本当に気に入ってくれたなら、そして「もう一度この店に来よう」と思ってくれたなら、店というものはそれでけっこううまく成り立っていくものなのだ。十人のうちの八、九人が「まあ悪くない」と思うよりは、大部分の人が気に入らなくても、十人のうちの一人か二人が本当に気に入ってくれる方がかえって良い結果をもたらす場合だってある。

だから今でも、自分の書いたものが多くの人にボロクソに言われても、十人のうちの一人か二人に自分の思いがすぱっと届いていればそれでいいと頑固に、一種の生活感覚として信じることができる。

        〜村上春樹:ロールキャベツを遠く離れて「やがて悲しき外国語」より〜

何かを始めるときに、8割を狙うだけが道筋ではなくて、あえて2割を狙って成功する場合もある、ということを、ミリオンセラー作家が身をもって示しています。

冒頭のブログは、セカンドライフの様子を見ずに書いてるみたいで、内容的には傾聴に値しないレベルですが、問題はそういうことじゃなくて、こういうふうに、事実に基づかずにマスコミに取り上げられてるか=8割の人にウケたかどうかだけで成功、失敗を判断するような人が、世の中にはいっぱい、いるということ。

そして、そういう表面しか見ないような人が、あなたや私が新しく「何かしよう」とするときに、深く考えもせずアドバイスしてくるということです。

「そんなの一般には理解されないよ。もっと8割の人に気に入られるようにしなくっちゃ」

そうやって、似たようなサービスばかりが雨後の竹の子のようにぽこぽこ出来ては消えていっているではありませんか。

セカンドライフみたいにユニークなサービスは、あえて一般化しないでいい。
Appleみたいに、好きなように我が道を行けばいい。
そのためにどう経営するかを考えればいいと、思うわけですが。

とりあえず自分に置き換えると、「何か」を始めようとする場合は、思い切って外野の声には耳をふさいで、自分の中の心の声を信じるしかない。のかな。

【読書】1Q84 / 村上春樹 ↓

By , 2009 年 5 月 31 日 10:34 AM

(今回Amazonのリンクはナシです)

「1Q84」を買いました。
村上春樹の新刊を買うのは「ノルウェイの森」上巻以来。
なぜ上巻かというと、上巻を読み切れずに下巻を買わなかったからで、それ以降、「ねじまき鳥」なども図書館で借りたものの読み切れず…あとはフォローしていません。

私の中で村上春樹といえば、「風の歌を聴け」〜「羊をめぐる冒険」+「ダンスダンスダンス」。もう最高に好きでした。

もともと、私は、シートン動物記やファーブル昆虫記、海外少年少女文学全集とか、少女探偵ナントカシリーズから読書生活をスタートして、アルセーヌ・ルパンに恋して、アガサ・クリスティのシリーズにドキドキし、SFや冒険小説ばかり読んできた人間で、文学について語るにはちょっと資格に欠けるところがあるんですが、
村上春樹の初期作品の、翻訳調の文章がすごく、新鮮で好きでした。

ナイーブで弱いけど友情を守るためには権力に対してきっぱりNOを言っちゃう「僕」にも好感を持てたしね。当時わたしもまだ20代でしたし(春樹氏は30代?)

かなり好きだったので、大ヒットした「ノルウェイの森」が読めなかったときには、自分でもびっくりしました。ぜんぜん面白いと思えなかったんですよね。
だって冒険・SF・推理的要素がないですから。。

そういうわけで村上春樹は過去の人だったんですが、例のイスラエルの「壁と卵」のスピーチに感動して…今回新刊が出たと聞いて興味を持ったんですが、
さすがに上下2巻を中身も見ずに買うのはアレだったので、本屋でパラパラ見て
「これなら読めそう」
と思ったので購入しました。

とりあえず文体的には読みやすいです。
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」なんかに比べると、どこで・だれが・何をしているかがちゃんとわかります(なんだそれ)

2人の人物の行動を同時進行で追いつつ、回想シーンも織り交ぜる難しい構成も、難なくこなして、混乱することなく読み進むことができます。

しかも私の大好きな、冒険活劇系ストーリー仕立てなことは、最初の章からわかって、わくわくしながら読みました。

…ところがストーリー自体はテンポよく進むのに、どうも雲行きがおかしい。
だいたい、異常なまでに性描写が多い。
男も女も10歳の少女まで。
夫による妻へのDVが描かれていて、はて、村上春樹は社会派転向か?
…と思いきや、当然ながらそんなことは全然なくて、最後は結局…

…書いちゃダメですよね。発売直後ですからね。。

えっと、冒険活劇とハッピーエンドを希求して、長い物語をたどってきた私としては、ぜんぜん納得いかない結末でした。

まるで「ダンスダンスダンス」と同じ!って、私には思えました。
羊がリトル・ピープルと言い換えられたくらいで。

(「海辺のカフカ」の続編だという話もあるので、くわしいことは全部読んだ方の書評を参考にしてください)

世界がちょっとずれちゃった感じがしたり、他人とかかわれない疎外感があったり、孤独だったり、怖かったり、そういうのって、ちょっと感覚の鋭い人なら誰でも感じることで、ナイーブだというのは悪いことじゃないと思います。

ただ、袋小路になってるところを何度旅しても、袋小路は袋小路なんだろうと思います。

救いを求めるにも、現代にはすでに神はなく、途方にくれる気持ちもわからないでもない。

でもだからといって結局Sexに、あるいは女性に癒しを求めるしかないって、なんか、違うような気がする。

なんだか違うような気がするんですよねえ。
ていうか、20年前なら、共感をもったかもだけど。

でも、文学っていうのは基本的に書き手が書きたいことを延々と書いていい芸術のジャンルだろうと思うんで、出口のない袋小路が書きたければ延々と書いてよくて、
たぶん私のほうがその場所においては異邦人なんでしょうが。。

とにかく、性描写が多過ぎ。
さいごらへんは気持ち悪くなったほど。
春樹氏の本に出てくる女性は、言葉でコミュニケーションとれない人が多いので(女性というか登場人物全員がそうですね)、セックスが唯一のコミュニケーションツールみたいな感じですね。

そういうのってある意味気の毒。
もうちょっと、根気よく、話あおうよ、人間なんだから…。

さらに、SF冒険活劇好きから言わせてもらえば、お祓いするのに10代の少女と交わるなんて、B級過ぎで興ざめ。

社会派転向はないけど、渡辺淳一路線はありかも(=すみません、渡辺淳一も読んだことないんで、イメージです、イメージ)

ああ、なんか、書けばかくほどくそみそな感想が…。
前半面白くて、くどい性描写に耐えながらいっしょうけんめい読んだだけに、満たされないエンディングでもやもやします。

というか、たぶん、エンディングに問題があるんじゃなくて、くどい性描写のほうに耐えられなくて、味わうべきところを味わいきれなかったかも。。

でも、村上春樹の魅力はこの、満たされないエンディングにある、という説もあって、だから気になって、次が出たときまた性懲りもなく買ってしまう…という効果もあるようなので、これでいいのかもですが。

あたしは、ちょっと前の宮部みゆきみたいな、安心して読めてちゃんと感動できるストーリーが好きなので、やっぱ、ブンガクはパスです。
なんかこう、ガツン!と面白い本ないですかねえ。
東野圭吾か、恩田陸とか、どうですかねぇ。。

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